RPS PANT

 

今回紹介する"RPS PANT by ROKX"の原型となったパンツがある。

ROKX創立時にコアアイテムとして発売された『#21002 ROKX PANT』である。

 

余談だが、ROKXがスタートしたのは2000年春のこと。

ちょうど僕が結婚した年である。

 

僕の第二の人生とROKXの足跡は、これからも歩調を合わせて歴史を刻んでいくことになるのだ()

 

と、どうでもよい話しはこれくらいにして、本題に戻る。

 

RPS PANT

 (写真:若かりし日のマイクとアトリエ)

 

2000年、ROKX コアアイテムとして、創立者であるマイク・グラハムが満を持して発表した#21002 ROKX PANT』。

今までのクライミングパンツでは見たことのないデザインで世間を驚かせることになったパンツだ。

 

その注目のデザインはパンツの後ろ側、ヒップのカッティングの切り替えにあった。

 

RPS PANT

  (写真:#21002 ROKX PANT

 

ヒップの全てを覆うように股ぐりから左右のウエストに向け切り替えが入っていたのだ。

それはまるでヒップの部分だけをハンモックのような一枚布で覆い、そこから伸びる左右の足はどこにでも好きな方向に動かすことができるという画期的なものであった。

 

ただ時代は2000年を過ぎていくと、『#21002 ROKX PANT』のもつヒップを包み込むようなパターンとカッティングは、大きく太目なシルエットで表現する形に変更され、さらにタイトでジャストフィットなシルエットが主流になってくるとともに次第に世間の注目から離れ、ROKXブランドのコレクションからも名前が消えることになったのだった。

 

RPS PANT

 RPS パンツ BY ROKX ¥16,280 (ROKX)

 

時間は流れ、2020年"RPS PANT by ROKX"の登場である。

 

この商品名の“RPS”とは

ROKX PANEL SHEET

つまり先程お伝えしたヒップの切り替えのことである。

 

2020年代に入り、それまでのシルエットから一変し、ワイドでルーズなシルエットの流れとともに見事復活となった。

 

RPS PANT

  RPS パンツ BY ROKX ¥16,280 (ROKX)

 

正直に言うと、"RPS PANT by ROKX"は今の時代では、もはやクラミングパンツではないのかもしれない。

身体に程よくフィットするシルエットと動きやすく頑強な素材を使用した現在のクライミングパンツは、もちろん我々ROKXの得意とするものであり、今回紹介した"RPS PANT by ROKX"とは大きくかけ離れている。

 

だが、創立者のマイク・グラハムがROKXを立ち上げた際に考えたアイデアというものが、20年以上の時を経て、また多くのファッション人に注目を浴びていることは間違いない。

それが"RPS PANT by ROKX"というパンツである。

 

Takehiko Hosono (ROKX Brand Director)