今回はROKXのウェブサイトがリニューアルしたこともあり、改めて定番的なアイテムをフューチャーしたい。
アイテムは"LIGHT TREK PANTS"。
2015年6月頃、カリフォルニア州サンタポーラに行くことになった。
ROKXの創立者マイク・グラハムに会って、2016年SPRING/ SUMMER企画の中にある、この"LIGHT TREK PANTS"のプレゼンをするためだ。

(写真:カリフォルニア州サンタポーラにあるマイクの自宅にて)
当時は、まさにキャンプブームが始まった頃であり、アウトドアという言葉も、都会に住む多くの人間に浸透し始めていた、そんな時期だった。
コットンを素材の軸にほぼ全てが天然素材といわれるものを使用してパンツをはじめ多くの商品を作っていたROKXではあったが、そんな中、初めてナイロンブレンド素材の商品企画書とサンプルを持参していた。

(写真:マイクの愛犬。人懐っこくて可愛い。)
マイクにプレゼンする直前まで、どう説明しようかとまだ少し迷いがあった。
「タク、これはROKXではないだろう」と言われるかもしれない。
なんとなくそんなマイナスな気分に覆われていたのだが、僕の思いがうまく伝わったのか、マイクはこのLIGHT TREK PANTSを見て、とても気に入ってくれた。
特に素材が気に入ってくれて、これからのROKXにはこういうパンツが必要だと言ってくれた。

その後、マイクの家からレストランに向かう車の中から見たベンチュラの空がやけに青く眩しかったのを覚えている。
こうして、現在でもROKXの定番として多くの方々から支持を受けているLIGHT TREK PANTSの販売が決定したのだった。

コットン50%、ナイロン47%、ポリウレタン3%の組成でできた生地は、見た目、化繊が多く入った山歩き専用のものに見えるのだが、実はコットンが半分近く入ることで、肌触りの柔らかさ、心地よさは、定番のROKXのコットンパンツに引けを取らない。
またストレッチ性もある。
ナイロンについては、強靭さが売りである。
つまり肌触りが良く、動きやすく、そして強いという、まさに3拍子揃った生地なのである。
シルエットやディテールなどは、画像や実物を見ていただければわかると思うが、膝から下が細くスッキリした 仕上がりになっている。
僕はこのパンツについて話しをする時、ROKXで“唯一”綺麗目な仕上がりのパンツと締めくくることにしている。
ROKXのパンツとは?と聞かれた時、普通であれば、製品染めや製品洗い加工をしたいわゆる『こなれた』パンツと答えるのだが、素材の良さとナローで上品なシルエットをもったパンツ。
ROKXの定番でありながら、おおよそROKXらしくないフォルムを持ったパンツ。
それが、"LIGHT TREK PANTS"なのである。
Takehiko Hosono (ROKX Brand Director)